関東ハーモニカ連盟合宿研修会の歴史(随時更新)
事務局 池田 洋
2005年、千葉県で試みたこじんまりとしたハーモニカ研修会が、いまや参加者650人にも及ぶ大イベントとして注目を浴びるようになった。まず、その要因を考え、歴史をたどってみたい。
- 国内外で活躍する憧れのトッププレイヤーの指導が受けられる。
- ハーモニカと名のつく楽器のすべての講座があり、他にメンテナンス、音楽理論、編曲法、指揮法、指導法など多岐にわたり、希望する講座が120分、最大4講座まで受けることができる。
- 3日間コンサートが開催され講師、一流プレイヤーが一堂に会し、生の演奏を聴くことができる。オープンステージでは誰もが演奏でき、セッションルームではバンドをバックに飛び入り演奏ができ、ラウンジ交流会では大合奏が生まれ、心ゆくまで吹きまくり、触れ合い、楽しみながら学ぶことができる。また、展示コーナーでは手に入りにくい教本、曲集、CDなどを求めることができる。
- 共通の話題で友達になり、あちこちで即席の演奏の輪ができ、情報を交換し、良い刺激になる。
- 2泊3日、1泊2日、日帰りコースを自由に選べ、一流の講師陣、豊富な講座メニューを考えると安価な参加費である。
- 会場となる国立女性教育会館(NWEC)は緑に囲まれた静かな環境、設備も充実している。
第1回 2005年6月 主催:東京都ハーモニカ協議会 場所:千葉県鴨川市「鴨川館」 1泊2日コースと交歓パーティ付き半日コースを設け、メニューは複音(斎藤寿孝氏)バス(新井隆司氏)コード(中村修一氏)クロマ、メンテナンス(真田正二氏)という布陣。東京都、千葉県、埼玉県を中心に80名が参加。交歓パーティなどで親睦を深め、今日につながる一灯をともす。
第2回 2006年6月 1泊2日、日帰りコース。この年に関東近県のハーモニカ協会が関東ハーモニカ連盟を立ち上げる。主催は関東ハーモニカ連盟(以後、主催は同)、主管を埼玉県ハーモニカ協会とし、埼玉県のほぼ中央に位置する嵐山町、国立女性教育会館(NWEC)で開催した。以後、会場はここに定着する。バスの鶴田亘弘氏、コードの波木圭二氏、複音の森本恵夫氏、ホルンの山崎喜史氏など新たに加わり、夜間には個人指導も取り入れる。交流コンサートではM・E・Q、ザ・ブルーハーモニーキャッツが特別出演。講師13名、2日間で21講座、170名参加。
第3回 2007年6月 1泊2日、日帰りコース。 主管は東京都ハーモニカ協会。 10ホールズ講座は浅見安次郎氏、波木克己氏で新たに設けられ、「ザ・ノーブランズ」「M・E・Q」の豪華メンバーによるアンサンブル指導講座も新設された。特別講座は和谷泰扶氏のクロマチック基礎学習、斎藤寿孝氏の民謡ハーモニカ奏法。「ハーモニカ相談コーナー」が登場、楽器、教材、CDなどの展示、販売が始まる。講師20名 31講座、参加者370名
第4回 2008年6月 1泊2日、日帰りコース。 過去3回は関東ハーモニカ連盟の会員が対象であったがハーモニカ愛好者は誰でも参加できるように全国に発信。複音を初級、中級、クラシック、演歌、民謡などジャンル別の講座にする。間中 勘氏の「憧れの荒城の月を吹こう」が人気講座となる。指導者コースを開設、斎藤寿孝氏の編曲、藤本和道氏の指揮法、松田 昌氏のピアニカ演奏を交えての音楽談義などが加わり、楽器だけの研修会から脱皮していく。オープンステージを開設して参加者が自由に発表できる場を設ける。新潟、関西、九州等全国から参加があり約500名を数え、世界最大のハーモニカイベントとなる。講師30名 62講座
第5回 2009年7月 会館を3日間借り切り2泊3日にスケールアップ、1泊2日コース、日帰りコースも設け、参加しやすくした。複音は藪谷幸男氏の日本的奏法、山下よし子氏のタンゴ奏法が加わり12人もの講師が担当、充実さを増した。ミネストローネによるポケットバス・コード&ビネタの講座を新設。地元「嵐山中央公民館合奏団」のコンサート出演も恒例になり、嵐山町教育委員会の文化事業の後援を取り付け、交流が広がった。講師34名、62講座 参加者550名
第6回 2010年7月 マレーシアから張雅誥氏が参加、「漢式ハーモニカ健康法」を講義、世界へ向けて情報発信の場となる。複音は1講座の受講者70~100人講座ができ以後に課題を残す。関西のクロマチック第一人者、徳永延生氏が参加。新たに設けたセッションルームでは即席のバックバンドに飛び入りでジャズセッション、ラウンジ交流会ではC,Amだけで心ゆくまで吹く。ジャズ界の大御所、金井英人トリオを招き、セッションルーム、コンサートではプロの演奏に堪能。 指導者コースに楠 光恵氏の「複音の教え方ポイント」、日本ハーモニカ芸術協会会長、甲賀一宏氏の「演奏法の基礎」が増設された。また、指導者視察コースを設け、指導者はフリーパスで講座を視察できるようにした。古川龍雄氏のハーモニカコレクションを展示。口諦疫募金は178,983円が集まり、宮崎県からの参加者に託す。講師36名 68講座 参加者は全国各県にわたり講師、スタッフを含めると600名を数える。
第7回 2011年8月 3月に東日本大震災に見舞われる。コンサート、イベントなどが自粛される中で開催が危ぶまれたが「がんばろう日本」をキャッチフレーズにハーモニカ愛好者を勇気付けるとともに募金を通して被災地の一日も早い復興を祈り開催された。前回、複音ハーモニカ受講者が圧倒的に多かったことを鑑み、妹尾裕子、砂川ひろみ氏迎え、複音講座を増設、充実させた。また、2~3人で楽しめる新しい形のアンサンブル講座として「Bom×Boa」「こまんたれう”」を、演歌アンサンブル曲集を刊行している宇佐美 進氏を四国からお招きし演歌アンサンブル、音響講座も新設した。
バスの運行を開始。駅と会場間、構内の巡行によって年配者、身障者にとっては移動が極めて楽になった。コンサート、セッションルームのゲストは「マツモニカあんさんぶる」。47講師による76講座 参加者、講師、スタッフで約600人。会館の宿泊施設だけでは足らず、「CITYHOTEL東松山を借り切る。東日本大震災の募金額は66,217円となった。
第8回 2012年7月 複音の相変わらずの人気で講座の増設をせざるをえなくなり細谷行子氏,星 幸江氏、黒田 彩氏、岩間朱美氏の女性講師が新たに加わる。指導者コースに菊川美智子氏の「サークル指導法」、高橋明治氏の「ポピュラーリズム入門」など少し変わった講座が設けられたがなかなかの人気であった。セッションルームは高橋明治氏率いる「嵐山スペシャルバンド」の下、飛び入りのど自慢大会が大うけ、また、プロのバンドの演奏などもあり盛り上がる。一方、ラウンジ交流会も菊川美智子氏のピアノ伴奏に合わせてひっきりなしに吹きまくり、研修の疲れを癒す楽しいひとときとなる。台湾から藤井俊充氏のバンド「afternoon tree」が参加、コンサート、セッションルームで演奏。また、日曜、土曜コンサートには全員の講師によるソロ、アンサンブル演奏があり豪華で贅沢な演奏会が実現した。44講師、81講座(佐藤 昭氏欠講) 一般参加者約490名。講師、スタッフを加えると約550名。
第9回 2013年 7月 クロマチックの第一人者、崎元 譲氏が初参加。昨年、佐藤 昭氏が体調を崩し欠講になった演歌講座を田邊峯光氏が復活、演歌ファンが戻ってくる。複音に山口ひさ子の本譜による講座追加。楠 光恵氏がカラオケ講座を設け、ハーモニカの楽しみ方が増える。交流コンサートのゲストに「東京大衆歌謡楽団」を迎える。若いのに似合わず、懐メロとその演奏スタイルがうけ、また、ラウンジ交流会でもハーモニカに合わせて歌うなど溶け込み、一体となって盛り上がる。今年の一般参加者は昨年より約100人増、が年々宿泊のシングル希望者が増えてきており、この年も「CITY HOTEL東松山」を利用。講師、スタッフ合わせると約650人。最大級の研修会になる。講師46人(岡田郁夫氏欠講)80講座。梅雨時にもかかわらず3日間天気に恵まれる。
第10回 1年お休みをして、2015年 7月開催。参加費アップと1年空けたことの影響を心配したが杞憂に終わる。専用の振込用紙を折り込み、参加コース、選択講座ほか必要事項を記入できるようにして申込手続きを簡素化する。講師も高齢化して辞退者も何人かいたが10ホールズを一新、鈴木 保、平松 悟氏、複音入門講座に中西基起氏、高橋五郎氏の若手に講師をお願いするなど、講師陣は全体的に若返った。コード、バスは全て初級にし、中級以上はアンサンブル講座を充実して、メロディラインの入った実践形式にした。クロマチックに若手の山下 伶氏、特別講座にジャズ講座を設け、マツモニカにお願い、メンテナンスにモリダイラのクロマチックリペアを新たに設ける。編曲法応用は黒田 彩氏が担当。セッションルームの「ハーモニカのど自慢大会」「ハーモニカ紅白対抗戦」「ラウンジ交流会」は好評を博す。講師42名、76講座、参加者は484名。「CITY HOTEL]東松山には19名が宿泊。
第11回 隔年になり2017年、7月開催。国立女性教育会館の運営会社が㈱ヌエックベストサポートに代わる。
実行委員長に内藤信二に代わって芝 貞幸氏が就任。他、実行委員の高齢化、家庭の事情などで関われなくなった委員が出た為2名増員したが混乱、単純ミスが発生した。今後の開催に課題を残す。会場費、宿泊費が約10%アップした為、2回連続の参加費値上げになった。宿泊参加費はアップしたが日帰り参加者については昼食持参にして参加費は据え置く。講座については複音入門に作田嘉余子氏(初)、演歌に尾形敏雄氏(初)、複音特別講座に山口ひさ子氏(再)、ヴィネタの講座を東 和美/神谷俊男氏で復活。目玉はアンサンブル講座に台湾から「シリウス」の参加。特別講座に中西基起氏、東 和美氏による1曲集中講座を新設。セッションルーム、ラウンジ交流会は恒例化し、今回も好評。3連夜のコンサートには講師のほかにアメリカよりジョーパワーズ、台湾のシリウス、ザ・フーフーがゲスト出演。従来の販売コーナーを「ふれあい広場」とな名づけて、従来の参加者のオープンステージの他に講師の演奏、楽器店のPRタイム、伊藤かな氏企画による「ジェロンとロジー」などで充実、賑わいの場になった。講師51名、72講座。参加者は430名。講師、スタッフを含めると約550名。3日間晴天に恵まれる。